Nowhere Man's Side

何者でもない人達へ

死んだ人が、思い出せないの

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「ジイさんは死んでなんかおらん。あん人は、今日も灯台の上で、灯を灯しているんじゃ」

 

 

ジイさんが死んでいくのを、この腕の中で受け止めたはずなのに。

何故か、死んでいないような気がして。

あの温もりが恋しくなって、今日も一人。

温もりを取り戻したくて、布団の中にくるまっている。

 

 

布団は温かい。そこで温めた気持ちを胸に抱えて、なんとか外へ出ようとする。

ジイさんをこのままにしたらいけない、と思って、外に出てみるのだけれど、

すぐに、その温もりは消えてしまって、また布団の中へと戻ってゆく。

 

 

誰の声もきこえない。太陽の光も届かない。

ジイさんの声が温かくって、その灯を消せまいと、責任を感じているんです。

だって、ジイさんを死なせないことができるのは、自分だけだから。

 

 

そんなとき、一人の少年がやってきた。何もきこえないと思っていたのだけど、

何故かきこえてきたその声は、すごく懐かしいような気が、したからかもしれない。

わたしはその声に、惹かれていった。温かかった、懐かしい気持ちを抱えて。

 

 

運命は残酷だ。わたしの人生は、辛い思いでしかなかった。

時は待ってはくれない。じっとしていることが好きなのに、

それを許さないかのように、心を痛めつけてくる。

 

 

責任は重くのしかかってくる。期待は思いで、重いもの。

その重荷は、だんだんと辛くなっていって、あまりの苦しさに、

目から涙が溢れてくる。そうか。涙は振り絞って、流れてくるものなのか。

なんだか世界の真理を発見したような気がして、少し心持ちが軽くなった。

 

 

涙は感動した時に流れるもの。そういえば、最近泣いていない。

何にも感動していないのだろうか。たしかに、毎日が同じ日の繰り返し。

そんな生活じゃ、涙は溢れてこない。だから、自分を苦しめているのかもしれないな。

 

 

涙を流したくって、わざと自分を苦しめている。わたしは弱い人間だ。

たぶん誰かに慰めてほしいだけなのだろうけど。

その証拠に、ここ最近、あの人のことばかり考えている。

 

 

恋というのだろうか。異性を求めて、慰めてほしいのだろうか。

知らないことを知って、感動したいのだろうか。なかなか、わからないことばかりだなぁ。この世界って。

ただ…悩んできて、わかったことが一つだけある。それは、退屈だっていうこと。

 

 

きっとこのまま人生を過ごしたら、後悔するだろうし、

それだけの人生だったと、自分を責めてしまうだろう。

時間は有限で、短い。悩んでいるだけでは、また同じことの繰り返し。

 

 

今できることをしよう。まずは外へでてみて。

誰も自分のことなんか、気にしていない。

自分のことを気にしているのは、自分だけだ。

 

 

先に死なれて、フラれた、失恋の話。