Nowhere Man's Side

何者でもない人達へ

「確信を持つこと、いや確信を持っているかのように行動せよ。 そうすれば次第に本物の確信が生まれてくる」独自の画風を貫き通した画家ゴッホが見つけた人生の答え

1853年3月に生まれた、フィンセント・ファン・ゴッホはポスト印象派の画家として後世に多大な影響を与えてきました。「ひまわり」や「星月夜」は誰もが一度は見たことのなる作品です。しかし彼には多くの暗い話があることも知っている人は多いのではないかと思います。彼は統合失調症であったとか、耳を切り落としたというような話です。

そんな危険な匂いも漂わせているのですが、みなさんは彼の言葉に耳を傾けたことはあるでしょうか。暗いエピソードや絵ばかりで、実は彼について全く何も知らない人が多いと思います。そこで彼の本当の姿はどんなものだったのか、書いてみたいと思います。

確信を持つこと、いや確信を持っているかのように行動せよ。そうすれば次第に本物の確信が生まれてくる。

フィンセント・ファン・ゴッホは1853年のオランダで生まれました。1853年といえば、日本に初めて黒船が来日した年です。彼は小さい頃から、自然に触れながら生活をしていて、一人で遠くまで歩き、一日中、花や昆虫を観察していたそうです。

才能というのはいつだって贈り物です。誰かに認められたからこそ、それは才能になりえます。彼は父へのプレゼントに絵を描きました。「農場の家と納屋」という作品です。絵を見れば分かりますが、この時点で才能があることが伺えます。

ここまではとても幸せな毎日でした。しかし悲劇はおこります。13歳の時、国立高等市民学校へ進学しました。しかし彼はたったの一年で学校を退学してしまいます。弟子であるテオに宛てた手紙にはこんなことが書いてあります。「僕の若い時代は、陰鬱で冷たく不毛だった」天才はやはり孤独な少年時代を送っているのです。そして慣れない学校を退学することも、天才たちにはよくある話です。

天才はしばしば情熱的な恋をします。しかしその恋が実ることは稀です。ゴッホは下宿先の娘に恋をしました。思いを告白しましたが、その愛願を叶えることはできませんでした。なぜならその娘にはすでに旦那さんがいたからです。悲しみに暮れさらに孤独へと陥った彼は、イエス伝を読むなど、宗教的情熱を深めていきました。

そんな状況が続くうちにゴッホは伝道師になりたいと思い始めます。その影響には聖書を子供達に教えていたことが理由にあるようです。彼は食卓で長い間祈り、肉を口にすることを拒むようになりました。

ですが彼の思いはさらに砕かれることになります。当時のオランダではキリスト教の思想を受け入れることはできず、彼は完全に職を失ってしまいます。ゴッホは途方に暮れ、あてもなく放浪の旅へと出て行きました。ただこの時の体験が彼に大きな光明を与えることになります。

帰ってきたゴッホは、子供の頃に父へのプレゼントをしたスケッチを思い出して、鉛筆を手に取り、絵を描き始めたのです。彼は振り返りこんな言葉を残しています。「しかしまさにこの貧窮の中で、僕は力が戻ってくるのを感じ、ここから立ち直るのだ、くじけて置いていた鉛筆をとり直し、絵に戻るのだと自分に言い聞かせた。」

それからというもの、彼は絵を描き続けました。そして有名な画家に弟子入りをして、さらに多くの画家たちにであいました。しかし、彼は意見を否定されることを極端に嫌い、あまりいい関係は築けなかったようです。それでも絵を描き、自然を愛し、女性を愛し、子供を愛した(彼には多くの女性を愛したエピソードや子供たちと遊んでいたエピソードが数多くあります)ゴッホは多くの作品を残していきました。

ゴッホという天才性。

最後にゴッホの言葉を紹介しておきましょう。作品もさることながら、彼の言葉もとても深いものです。どれだけものごとについて考えていたのか、その一端が見えてくることでしょう。

  • 人問は毅然として現実の運命に耐えていくべきだ。そこに一切の真理がひそんでいる。
  • 虫だって光の好きなのと嫌いなのと二通りあるんだ。人間だって同じだよ、皆が明るいなんて不自然さ。
  • たとえこの人生が負け戦であろうと、いずれにせよぼくは良い戦いをしたい。
  • 僕の人生はそれほど長くないだろう。だから僕は一つのことしか目に入らない。無知な人になって仕事をするつもりだ。ここ数年のうちに何がしか仕事をやり遂げてみせる。
  • 美しい景色を探すな。景色の中に美しいものを見出すんだ。
  • 与えようとばかりして、貰おうとしなかった。なんと愚かな、間違った、誇張された、高慢な、短気な恋愛ではなかったか。ただ相手に与えるだけではいけない。相手からも貰わなくては。
  • 何にもなりはしない。僕が生きていれば、悲しみはいつまでも続くだろう。僕はこんな風に死んでゆきたいと思ってたんだ。
  • 僕は絵の中で、音楽のように何か心慰めるものを表現したい。