Nowhere Man's Side

何者でもない人達へ

呪われたカエルの物語 パート2 ~死に至る病~

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 前回のお話はこちら

//倫理的実存のお話

 
呪われたカエルは、自分にはなんの才能もないんだと思い、精神力を鍛えようと思い始めます。そこでカエルは旅に出ることにしました。旅に出れば、世界が変わると思ったからです。そうと決まると、さっそく荷物を整えて、北へ北へと歩いていきました。
 
カエルは一人の老人に出会います。老人は道ばたで、ただ目を瞑って何か唱えています。コッソリ近づいて声を聞いてみると、「神よ。許したまえ」と聞こえました。
 
何度も何度も、老人は「神よ」と言っています。なんだかものすごいことをしている気がして、試しに言ってみることにしました。
 
な んだか、ものすごく安心感を覚えました。全知全能である神さまに許しをこいている自分が、特別な存在のように思えたからです。それに偉大な聖人たちは、 「常に感謝の気持ちを忘れずにいること」と説いていることを思い出しました。「神よ」と言い続ければ、いつかは自分も偉大な聖人になれると信じて、言い続 けました。
 
しかし、長くは続きませんでした。なぜなら、カエルはガンジーでもマザー・テレサでもないからです。精神力に限界が来てしまったのです。「精神と身体」もろともに疲れきってしまったカエルは、ここで自分には何のとりえもないことを、悟りました。
 
ここまでが、倫理的実存。技術力を高めるために、精神力を鍛えようとするのですが、限界を感じてしまい、諦めてしまいます。何もかも失った時、人は何をするのか。話は続きます。

 

 //宗教的実存のお話

 
カ エルにはもう何も残っていませんでした。何もかもしたいことをしたのですが、ことごとく壁にぶつかり、その果てに自分の限界を感じていました。とうとうカ エルはいままでの苦労は何だったのか、わからなくなってしまいました。そして、自分の行動が何も産まなかったことを知ると、無性に情けなくなって、悲しく なって、自分を責め続けました。
 
「あぁ…ぼくはいままで何をしていたのだろう…結局なにも かわらないじゃないか…あの時は勢い余って飛び出したけれど、やっぱし、ぼくはカエルなんだ…この世で一番醜くて、役に立たないしょうもないヤツなんだ… もし人生をやり直せるのなら、この魂、死神にだってくれてやるのに…」
 
カエルの心は罪悪感で一杯で した。せめて、迷惑はかけないように、じっとしていよう。それが一番なんだと思いました。カエルはそれからただ、じっとして日々を過ごしていました。もう 何のやる気も食欲も、あらゆる欲が彼にはありませんでした。そうしていくと、カエルの身体はみるみる内にやせ衰えていきました。カエルは鬱になっていたの です。
 
ここまでが、宗教的実存。何をしてもうまくいかないので、何もする気が起きなくなってしまいます。これは、現代でいう鬱状態のことです。もしあなたが鬱で何 のやる気も、食欲も、色欲もなくなっていて、布団にこもりっぱなしの日々がつづいているのなら、あなたは物語の終幕にいることを理解してください。
 

//自己的実存のお話

 
カエルはみるみるうちに痩せ衰えていきました。もう外にでることもなくなっていました。何もやる気が起きませんでした。しかし、その日々すらも限界を迎えます。あまりの不健康な生活に精神と身体は耐えることができず、またもやカエルは病に伏せてしまいます。
 
も う死ぬんだと思いました。今度はダメだそう思いました。カエルにはもう意識がなくなっていました。その時、声が聞こえてきました。なんと言ったのかカエル には聞き取れませんでした。しかし、何かしないといけない気がしていました。罪悪感で満ちていたカエルは、世界に償うために、最後の力を振り絞って、どこ かへあてもなく彷徨いました。
 
そうしてふらふらと歩いていると、ある場所に辿りついていました。そこは、図書館でした。なぜこんなとこにいるのか、カエルには検討がつきません。しかし、カエルは無意識のままに、その館へ入っていきます。そしてどれくらいいたのだろうか。ただただ彷徨い続けました。
 
だ んだんと身体が重くなっていました。なぜだかわかりませんが、手に重みがだんだんと比重をましています。とうとう力尽きたカエルは、床に倒れてしまいまし た。そこでカエルはあるものを目にします。それは呪いにまつわる本でした。カエルはハッとしました。自分が呪われていたことを忘れていたのです。
 
「ぼ くがこんなになったのは、呪われているからだ。呪いを解かないといけない。ぼくが本当にしたいことは、呪いを解くことじゃないのか。死にそうにまでなっても探しているんだ。もうぼくにはこれしか残っていない!」そう思い立ったカエルは、急に食欲が出てきました。考える暇もなく、ご飯を食べに行きました。
 
「こ んなにおいしいご飯を食べたのは、いつぶりだろう!」カエルは生きていることを実感しました。そして、感謝していました。ぼくをこの世界に産んでくれたこ と。ご飯を食べさせてくれる身体をくれたこと。やるべきことを教えてくれた謎の声に、ただただ感謝しました。カエルにとって使命とは、呪いについて知ることでした。
 
カエルは昔の記憶を思い出しました。魔女が好きだったこと。歌が好きだったこと。神さま や死神がすきだったこと。ある日、突然呪われたこと。全てが「呪い」に関することでした。「魔女の呪い」に「呪いの歌」、「呪いの解除」に「呪われたい願 望」全てが、カエル自身にとって有益になることばかりでした。
 
カエルの物語は一度として、道を踏み外していなかったのです。カエルは心の底から、呪いにつ いてしりたかったのですから。そうして、カエルは一生をかけて「呪い」について研究をして、世の中にいる呪われた人々を救うことを決意したのです。
 
 
ここまでが、自己的実存。無意識になった人は、まるで神さまに導かれたように、死の直前、天啓をうけたと感じます。そして、使命を見つけたものは、この世界に感謝して、自分の知識や体験を世界のために、形として残そうと「使命」を果たします。
 

//死に至る病...

 
これで物語は終幕です。ここまで読んで頂いた方はありがとうございました。お疲れ様です。結果をいうと、彼の物語は呪いを解くのではなくて、呪いは自分の使命なんだと、思い出させる一つの出来事だったわけです。ここまで五段階の流れがありました。
 
  1. 人間的実存
  2. 美的実存
  3. 倫理的実存
  4. 宗教的実存
  5. 自己的実存
 
この流れはひとが絶望した時に必ず、体験する物語です。天才は「好きなことをするのが一番なんだ」「技術を盗め」「謙虚さが必要だ」「神さまに感謝しなさい」「天才のマネをしろ」といいます。これは天才たちが歩んできた道が同じ過程を辿っているからなのです。
 
こ の過程を体系化したのは、キルケゴールであり「死に至る病」という著書として、まとめてあります。キルケゴール絶望を「死に至る病だと言いました。それは どんな人でも当てはまると言っています。それはそうです。死なない人間はこの世界に一人だっていないのですから。そしてキルケゴールは物語の果てに、人は 超人になると言っています。これが現代でいう「天才」たちなのです。
 
絶望とは「死に至る病」であ り、天才に至るための過程を示すものでもあります。もしあなたが天才になって、本気で生きる理由を知りたいのなら、死に至らなければなりません。生きる理 由は、人類にとって最大の謎であり、それ相応の覚悟がいります。生きる理由を探求し続けたあまり、夭折した天才たちは数知れず。あなたもその人たちのよう に、本当に「死に至る」かもしれません。
 
それでもぼくは、みなさんに天才になってほしいのです。世 界は平和なようで、混沌としています。あまりに多くの問題が世の中には運びっています。その問題を解決する方法は、天才たちを増やすほかないのです。この ままでは人類の進化は、世界に追いつかずに、絶滅するかもしれません。
 
食料問題、地球温暖化、核戦 争、宇宙資源、いじめ、少子高齢化、ウイルス、失職。ありとあらゆる問題を解決する必要があります。それらを解決するためにも天才になりましょう。そして「愛」を 感じてください。あなたも生き物なら、気持よくありたいはずです。その方法をぼくは先に探求し続けます。
 
も し心が折れそうな時、何もやる気がおきない時、あなたは愛する人を見つける必要があります。それは「お姫様」や「天使」の存在です。何かをし続けるには、 何かを愛さなければいけないのです。天才にとって天使とは、どのような作用を引き起こすのか。これからお伝えしたいと思います。