Nowhere Man's Side

何者でもない人達へ

呪われたカエルの物語

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前回、天才における絶望とは「努力である」と言いました。努力とは自分を動かさざるを得ない状況に持ち込むこと。生死の生徒際にまで追い込むことです。ではどうしたら人は努力して、絶望の淵を渡ることができるのか。そのためにはある呪文を唱える必要があります。天才と云われる人は間違いなくある呪文を唱えています。その呪文によって人は天才となります。
 

//呪いの呪文を唱えます

 

僕はここでみなさんに立ち戻る最後の機会を与えます。もし呪文を聞いてしまえば、あなたはきっと呪われることでしょう。そして二度と希望を見ることはできません。

 

今戻れば、幸せかどうかはわかりませんが、苦痛もない、けれど夢もない生活に戻ることができます。獣たちと同じように食べては寝て、いつかは子孫を残して、家庭を築き、動物としての使命を果たすことができるでしょう。それでもよければここで戻ることをオススメします。

 

し かし、もしあなたが動物ではなくて、人間としての使命を果たしたいと願うのなら、「どうせ死ぬのになんで、生きてるんだろう?」と、こう呪文を唱えてくだ さい……呪文は昔から、人に災厄をもたらします。この呪いは、あなたを虫や蛙に変身させてしまう呪文です。しかし、呪文には必ず解呪の方法があります。少 しの間、我慢してみてください。

 

//人間的実存のお話

 

呪文にかけられたあなたは、あまりの変貌ぶりに絶望して、未来への希望を失ってしまいました。何にもやる気が起きず、ただただ日々を過ごしていました。そんな日々に転機が訪れます。

 

あまりの怠惰な生活に、身体は耐えきれず、病にかかってしまいました。そんな時にあなたは、死の感覚を覚えます。そして、未来はもうないんだと、思い始めます。

 

未来の幸せな生活を考えていると、だんだんと腹がたってきました。「本当ならもっと幸せなな人生を送っていたはずなのに...今までぼくは何をしていたのだろう?このままただ死んで、誰にも記憶されないまま、この世から去っていくのだろうか?」と思ったのです。

 

カエルは決心しました。「どうせ死ぬのなら、それまでにしたいことは、なんでもやってやる。カエルの姿だからなんだってんだ」とそう思い立ったのです。

 

ここまでが人間的実存。生きる理由を探すのですが、わからないというエピソードです。もしあなたにもそんなエピソードがあれば、当てはめてみると良いと思います。

 

//美的実存のお話

 

カエルは怒っていました。自分の日々の生活に呆れ、焦りもなくなっていたからです。自分のあまりのダメダメさに、苛立ったカエルは、さっそく何かしようと思い、昔からしたかった「歌」をうたうことにしました。

 

気をまぎわらせるように、歌っていると、とても楽しかったので、勢いづいたカエルは、歌をうたうコンクールへと出てみることにしました。

 

コンクールに出てはみたのですが、あまりのレベルの違いに愕然とします。ムリだと思ったカエルは、歌をうたうことを止めてしまいました。なぜなら惨めさと恥ずかしさと、自分のあまりの楽天ぶりに呆れてしまったからです。コンクールの人たちは本気だったのです。

 

ここまでが美的実存。自分を表現するために、天才のマネをするのですが、あまりのレベルの違いと、情熱の無さに呆れてしまいます。

 

//続きます...

 

一旦ここで区切りたいと思います。呪われたカエルはこの後、どんな物語を見せるのか。あと三幕残っています。カエルは呪文を解いて、天才になれるのか。天才に至るまでの、細かいエピソードをお伝えします。